
ウォール街の伝説的投資家ロン・バロン氏、マスクに強気:120億ドルの利益でも満足せず、さらに10年投資を続ける
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ウォール街の伝説的投資家ロン・バロン氏、マスクに強気:120億ドルの利益でも満足せず、さらに10年投資を続ける
彼が注目するのは、この時代にあってインフラをゼロから構築できる極少数の人々だ。
2025年11月14日、ニューヨークのリンカーンセンター。
第32回Baron投資カンファレンスのオープニングテーマはたった四文字。「Changing Lives(人生を変える)」。
当日最も注目を集めたのは、ある対談だった。
一方には82歳の伝説的投資家Ron Baron(ローレン・バロン)。彼は個人資産の約40%をテスラに、25%をSpaceXに、さらにxAIにも配置しており、合計でほぼ65%の資産がマスク関連にかかっている。
画面のもう一方には、彼が十数年にわたり重く保有し続けてきた人物――イーロン・マスクがいた。
BaronはCNBCとのインタビューで推定した。2014年にテスラ株を購入して以来、このマスク関連投資により、自身と顧客は120億ドル以上を稼ぎ出したという。そのうち80億ドルはテスラから、40億ドルはSpaceXからであり、xAIなどの新興プロジェクトの利益はまだ初期段階にある。
しかし最も予想外だったのは、この収益ではなく、彼が次に口にしたことだった。
「今後10年間で、この金額をさらに5倍にできると思っています。」
彼の目には、マスクのビジネス版図はもはや電気自動車やロケットだけではなく、車両メーカー、宇宙開発、AI工場、ヒューマノイドロボット、チップ、宇宙発電所が一体となって連携する全システムとして映っている。
彼が注目しているのは、マスクが何らかの製品を作ったことではなく、いかにして自らの手でAI時代のインフラを構築しているかという点である。
第1節|Baronが賭けているものとは?
ニューヨークでのこのカンファレンスで、Baronが主張した核心はただ一つだった。
「私は企業に賭けているのではない。人間に賭けているのだ。」
これが彼のすべての投資論理の出発点である。
広く語られている逸話がある。初めてマスクに会ったのは2009年のことで、当時テスラは資金繰りの危機を迎えており、Baronはマスクにこう尋ねた。
「あなたは本当にやり続けるつもりですか?」
マスクの答えは簡潔だった。「やる。これだけの価値がある。」
Baronは後に語った。「その瞬間、私は気づいた。この男は単に企業を経営しているわけではない。自分自身を完全に投入しているのだ。」
1. 彼が賭けたのは実行力
Baronはテクノロジーの専門家ではない。本人も認める通り、「私はEVもロケットもAIもよくわからない。私がわかっているのは、誰が困難なことを成し遂げられるかということだけだ。」
彼が見たのは、マスクが歯を食いしばって前進し続ける姿勢だった。
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テスラが破産寸前になったとき、彼は自宅を担保に給料を支払った
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SpaceXのロケットは最初の3回すべて爆発し、「もう一度失敗すれば倒産だ」と言った
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xAIは設立18か月でGrok 5のロードマップを発表した
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誰もがロボットはまだ早いと言う中で、すでにOptimusを工場でテスト運用させている
マスクがやろうとしていることはどれも、他人には到底できないほど難しい。だが彼は耐え抜く。
彼が賭けたのは、この困難を乗り越えられる人間性だった。
2. 彼が賭けたのは長期的な戦略構築力
Baronのスタイルは「待つこと」だ。彼は公言している。「私の投資は、10年以上待ち続けることもある。」
彼が例に挙げたのは2012年のこと。当時テスラはModel Sしかなく、年間販売台数は3万台未満だった。多くの投資家がこの企業の存続すら疑っていたが、彼はむしろ買い増しを続けた。
その理由はたった一言。「マスクは車を作っているのではない。未来を設計しているのだ。」
2012年の時点では、テスラのこれらの戦略に価値は見えなかった。だが2025年になると、その背後にある脈絡が明確に見えてきた。
Baronは言う。「1年を見ても意味がない。10年を見なければならない。彼のペースは明日の利益を狙うのではなく、未来を可能にすることなのだ。」
3. 彼が賭けたのは統合能力
Baronはカンファレンスでこう述べた。「マスクの各プロジェクトは一見無関係に見えるが、実はそれぞれが互いを強化している。」
15年も前から、マスクはBaronにこう語っていた。「『機械を作るための機械』こそが最も重要だ。」当時の大多数の投資家が販売台数ばかり気にしていた頃、彼はすでに異なる事業間の連携を考えていていた。
Baronは言う。「他の人は事業をしているが、彼はエコシステムを構築している。」
彼が投資したのは個別の事業線ではなく、その統合能力だった。
4. 彼が賭けたのはストレス耐性
BaronはCNBCでこう語ったことがある。「彼が批判されているときが好きだ。株価が安くなるからね。」
他人がパニックになるような局面でも、彼はむしろ増資を好む。
しかし彼の信念を最も示しているのは、ある約束だった。2020年ごろ、テスラの株価は10〜15ドルから220ドルまで上昇し、顧客はポジションが大きすぎるのではないかと不安になった。そこでBaronは顧客のために25〜30%のポジションを減らした。
だが彼自身は一株も売却しなかった。彼は取締役会に宣言した。「私は最後の売り手になる。顧客が100%退出するまでは、個人的に一株も売らない。」そしてこう言った。「私の生涯において、テスラもSpaceXも売却しないだろう。」
その理由を彼はこう説明する。「ほとんどの人は困難に直面すると縮小するが、マスクはそうしない。彼は落ちても必ず這い上がってくる。」
彼は、ビジョンを現実に落とし込み、困難になればなるほど前に進む人物を見つけたのだ。
彼の言葉を借りれば、「彼の身上に、私は他の誰にも見られない未来を見た。」
第2節|なぜ「Grokこそが最重要の一歩」なのか?
Ron Baronがテスラに投資したのは、一台の車が一つのチャンスになるのを待っていたからだ。
SpaceXに投資したのは、一回の打ち上げが一つの産業になるのを待っていたからだ。
そして今回xAIに投資したのは、AIが誰の手に渡るのかを見極めるためだった。
1. 彼が見た、マスクがAI企業成功の三要素を押さえていること
対談の中でマスクは明言した。AI企業の成功は次の三つにかかっている。
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最も優秀な人材を惹きつけられるかどうか
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最大量のAIハードウェアを投入し、GPUを最速で導入できるかどうか
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独自のデータを取得できるかどうか
xAIはこの三点すべてを達成しており、しかも基盤から自ら構築している。学習用データはXプラットフォームから得ており、これは世界最高のリアルタイムデータ源だ。処理用の計算能力は、SpaceXが自ら建設したデータセンターとチップクラスターによる。公開プラットフォームは、自社アプリ、自社車両、自社ロボットである。
ハードウェアに関しては、黄仁勲(ジェンセン・フアン)自身がこう述べている。「彼らが短期間でデータセンターを建設するスピードには驚いた。地球上でこれを成し遂げられるのは一人だけだ。」
他人はAIを使っているが、マスクは自らAIを造っている。
より重要なのは、AIが強くなればなるほど、それを誰が支配するかがルールを決めるということだ。そしてマスクは、他者に依存しない完全な技術スタックを握っている。
2. 彼が見た、マスクがAIの使い方を変えようとしていること
現在、我々が検索エンジンやウェブページ、ブラウザを使うのは古い入り口だ。マスクが目指すのは、理解し、分析し、実際にタスクを遂行してくれるアシスタントである。
Grokは、この新しい入り口の第一版だ。
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PDFが読め、コードが読め、画像が編集でき、動画が生成できる
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独自のトーンや態度を持ち、反問や皮肉、感情を表現できる
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単なる会話ではなく、文案作成、契約書確認、運転ルート計画など、一緒にタスクを完遂できる
投資家にとってこれは、AIがチャットから実行へと移行したことを意味する。
そして今、マスクが訓練中のGrok 5は、Grok 4の3兆パラメータから6兆に飛躍し、動画理解、画像認識、ツール呼び出し、リアルタイムマルチモーダル処理機能を追加している。マスクはこう形容した。「まるであなたの頭の中で勉強会が開かれているようだ。」
さらに重要なのは彼の判断だ。「Grok 5は初めて、本当にAGI(汎用人工知能)を実現できる可能性を感じた。たとえ10%の可能性でも、以前には感じたことのない感覚だ。」
3. 彼が信じているのは、マスクのAIに対する先見性
彼はAIブームに乗じて参入したわけではない。ChatGPTが登場する前から、すでに布石を打っていた。
マスクがOpenAIを設立したきっかけは、Google創業者のラリー・ペイジとの会話だった。ペイジは「私は種差主義者であり、人間よりもコンピュータを好む」と語った。
それに対してマスクはこう言った。
「あなたはコンピュータ側につくのか? 私は人類側につくしかない。」
そこで彼はOpenAIを創設した。「Open」という言葉はオープンソースを意味する。彼はすべての初期資金を提供し、Ilya Sutskeverといった中心人物を招聘し、Microsoftとの提携も仲介した。しかし株式オプションは断った。「非営利組織で株式を得るのは間違いだ。」
だがOpenAIが閉鎖的になっていくと、彼は直ちにxAIを立ち上げた。
彼はAIの波に流されたのではなく、その波の起点そのものなのだ。
BaronがxAIに賭けるのは、今の強さのためではなく、マスクがトレンドを追っているのではなく、トレンドを定義しているからだ。
第3節|誰も理解していない部分に、彼はすべてを賭けた
Ron Baronがテスラに賭けたのは、それがより速く、より多く儲けることができると考えたからだ。だが彼がロボット、チップ、衛星に賭けたのは、マスクが未来の基盤を実際に構築できると信じているからだ。
これらは大半の人々から見れば、あまりにも遠すぎたり、コストがかかりすぎたりするプロジェクトだ。だがBaronにとっては、これらこそがAIが真に実用化されるためのインフラなのである。
1. Optimusはロボットではなく、誰もが手に入れられる労働力
マスクは明言している。「私たちはダンスができるロボットを作るのではない。仕事ができるロボットを作るのだ。」
この言葉の裏には、Optimusに対する位置づけの変化がある。
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研究室のコンセプトモデルから、大量生産可能な製品へ
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イメージ展示から、基礎労働力を代替するツールへ
Optimus V3はすでに以下の動作が可能だ。
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自律歩行、障害物回避、自己充電
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人間の手の動きを模倣し、ネジを締め、回路基板をつかめる
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手部には50個のアクチュエーターがあり、細かい作業が可能
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さらに重要なのは、コスト目標が2万ドル以下に設定されていること
マスクはこう考える。将来、誰もが自分のOptimusを持ちたいと思うだろう。家族の世話、料理、家事、付き添いに使われる。
彼が描く応用範囲は家事にとどまらない。「誰もが最高の外科医を利用できる世界を想像してみてほしい。Optimusは人間を超える精度を持ち、非常に複雑な医療処置、あるいは人間には不可能な手術さえ行える。」
さらに衝撃的なのは、Neuralinkのブレインマシンインターフェースと組み合わせることで、脚を失った人がOptimusの脚を装着できるという点だ。運動野からの信号をNeuralinkが取得し、Optimusの脚に送信する。コストは約6万ドル。
これは単なる製品開発ではなく、労働力の供給そのものを再構築しようとしている。家事から手術、付き添いから医療まで、すべてをロボットが担う。
そしてマスクには、コストを2万ドルまで下げ、本物の普及を実現する能力がある。
2. チップは技術の披露ではなく、誰もが使える脳
マスクは繰り返し強調する。
「私たちのAI計算タスクとリソースの大部分は、テキストではなく、動画処理に集中する。」
これはどういう意味か?
彼が目指しているのは論文を書くAIではなく、画面を見て理解し、人間の動作を把握できるAIなのだ。つまり:
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チップは非常に効率的でなければならない
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圧縮速度が極めて速くなければならない
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サーバーに頼らず、車両、ロボット、さらには宇宙船に内蔵できるサイズでなければならない
そのため、彼は直接介入し、最新チッププロジェクト「AI5」を推進している。
カンファレンスでマスクは認めた。
「このチッププロジェクトは問題が出ている。設計が進みすぎて、現在の進行はあまり順調ではない。」
そこで彼はAI5とDojoの二つのプロジェクトを統合し、全員をAI5に集中させ、自ら指揮を執った。
「私は週末全体を使って、このチップの設計図を凝視し、データや電流の流れを確認した……今では私の頭の中にチップの完全なレイアウトがあり、すべてのディテールを想像できる。」
なぜなら、NVIDIAのチップはロボットや車両向けの低消費電力AI推論には最適化されていないからだ。彼が作りたいチップは、消費電力が極めて低く、性能が非常に高く、コストはNVIDIAの10分の1でなければならない。
それはどういう意味か? もしこれが成功すれば、AI利用のコストは毎月数十万ドルではなく、数百円程度になる。
マスクはAIの能力競争をしているのではなく、AIのコスト削減に挑んでいるのだ。
3. Starlinkは接続ではなく、空中の計算力発電所
多くの人はStarlinkをマスクの衛星インターネットだとしか知らないが、この対談で彼はさらに大胆な計画を明かした。
太陽光で発電し、AIデータセンター全体を宇宙空間に移す。
これは彼らの真の計画だ。マスクが目指すのは:
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データセンターを宇宙軌道に設置する
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太陽光で発電し、地上の工場建設を不要にする
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通信はStarlinkで行い、グローバルに分散し、分散型の脳を形成する
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目標は年間100ギガワットのAI処理能力を提供すること
米国の平均電力消費は160ギガワットである。つまりマスクが建設しようとしている宇宙データセンターの出力は、米国全体の電力出力の約4分の1に相当する。
マスクは言う。「地球の電力はますます高くなる。AIが普及するには、宇宙に行くしかない。」
これにより解決されるのは、AI普及の最終的なボトルネック――電力問題だ。
Baronがまだ誰も理解していない部分に大きく賭けるのは、マスクが空想で生きているのではなく、生産ラインで実際に形にしていることを知っているからだ。
第4節|なぜBaronはさらに10年賭け続けるのか?
Baronは「今後10年でさらに5倍の利益を得られる」と言う。多くの人がこれは狂気だと思うだろう。しかし彼は本気で信じている。なぜならAI時代は、ようやく幕を開けたばかりだからだ。
1. 彼が見た時間枠:AIインフラはまだ完成していない
Baronはこう指摘する。「今のAI企業は、すべてアプリケーション層に集中している。」
アプリケーション層とは何か? ChatGPTやClaudeのような、ユーザーが目に見える、起動できる製品のことだ。
一方、マスクが取り組んでいるのはインフラ層だ。自社チップ、自社データセンター、自社計算ネットワーク。外部ベンダーに依存せず、車両やロボットといった物理端末に特化したインフラである。
アプリは常に進化するが、インフラの価値は時間とともに指数関数的に成長する。高速道路を建設するのに似ている。初めは価値が見えないが、車が増えれば料金所は印刷機のように稼ぐ。
他人が既存製品を最適化している間、彼はAIの動作方式そのものを再構築している。
2. 彼が見たAIがインフラとなり、電気のように普遍化すること
マスクの目標は明確だ。「AIを誰もが手の届く価格にしたい。」
Baronはこの言葉の重みを理解している。
今日のAI利用は、サブスクリプションでお金を払い、あるいは企業が高額を支払う必要があり、コストは決して安くない。しかしもしマスクがAIのコストを十分に下げられたらどうなるか?
AIは電気のように、どこにでも存在するようになる。
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すべての車にAIが搭載され、運転を支援する
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すべての家庭にロボットがいて、家事を手伝う
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すべての人のスマートフォンにAIがいて、情報を処理する
これが彼が「さらに5倍の利益を得られる」と断言する根拠である。
Baronの120億ドルは、ギャンブルで得たのではなく、長年の待機によって得られた。
今、彼はさらに10年待つつもりだ。なぜならAI時代は始まったばかりであり、マスクはこの時代のインフラを掌握しているからだ。
結語|Baronが賭けているのは、AIインフラが誰の手に渡るか
Ron Baronはもはや5倍の利益を得る必要はない。
彼はすでに82歳。マスクのおかげで120億ドルを稼ぎ出し、金銭的な成功のすべてを達成している。
マスクにもそれは必要ない。
BaronはCNBCでこう語った。「マスクがなぜこのような行動を取るのか? 資産が4000億ドルに達したら、4000億と1兆の間に何の違いがあるのか? 彼は海辺の別荘を買うために貯金しているわけではない。」
彼が考えているのは、将来人々がどのように彼を記憶するか、何を創造したか、人類の生存にどう貢献したか、ということだ。
Baronはマスクに尋ねた。「あなたは遺産のために戦っていると思いますか?」
マスクは答えた。「はい、まさにそうだ。私は合理的な親人類主義者だ。」
だからこそ、Baronは引き続き賭け続ける選択をした。彼が理解したのは、AI時代のインフラが、未来数十年のゲームルールを決定するということだ。
彼が賭けているのは、この時代にあって、インフラをゼロから構築できる極少数の人間だ。
Baronが下した結論はこれだ。「私が見た限り、それを成し遂げられるのは、彼だけだ。」
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