
OpenAIおよびAnthropicの採用ページを調査したところ、両社が公表したくない計画が明らかになった
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OpenAIおよびAnthropicの採用ページを調査したところ、両社が公表したくない計画が明らかになった
採用ページは、公開されている戦略的シグナル源のうちごく少数に過ぎません。
著者:ジャン=スタニスラス・デネン、キャンベル・ハッチェソン
編訳:TechFlow
TechFlow解説: Epoch AI の研究員が、OpenAI、Anthropic、xAI、Google DeepMind の各社の公開求人ページを調査し、求人職種の分布からこれらの企業の戦略的動向を逆算しました。
その結論は非常に興味深いものです。まず、OpenAI と Anthropic の営業関連職種の割合が過去1年間で急増しており、特に顧客に「AIの使い方を教える」技術営業職種の増加が顕著です。
また、OpenAI はカメラ搭載・自社開発チップ搭載の携帯型デバイスの開発を進めており、さらに7つのロボット関連職種も募集しています。
一方、Anthropic はチップ開発には着手していませんが、データセンターに関する契約交渉を積極的に展開しています。求人ページは、こうした戦略に関する数少ない公的な手がかりであり、本分析は非常に高い情報密度を持っています。
本文は以下の通り:
AI企業は自社の戦略について極めて慎重な姿勢をとっていますが、求人ページは公開されています。
そこに掲載された職種には、さまざまな手がかりが隠されています。たとえば、ある企業がどのような製品を開発しているのか、誰に販売しようとしているのか、そしてどの工程がボトルネックになると考えているのかなどです。「Camera ISP ソフトウェアエンジニア」という求人は、カメラを搭載したデバイスの開発を示唆しています。また、「フロントラインデプロイメントエンジニア」の募集は、AI技術を企業現場に実装することがいかに困難であるかを物語っています。さらに、多数のロボット関連職種の募集は、単なるチャットボットを超えた大きな野望を意味しています。
我々は、主要な基盤モデル研究所(OpenAI、Anthropic、xAI、Google DeepMind)の公開求人情報を分析しました。以下がその結果です。
主な発見:
- OpenAI および Anthropic では、過去1年間に営業および営業関連職種の募集が大幅に増加しました。Anthropic の GTM(Go-to-Market)関連職種の割合は17%から31%へ、OpenAI は18%から28%へと上昇しました。この増加は、特に顧客のAI活用を支援する技術職種に集中しています。
- 求人情報は製品ロードマップをうかがい知る手がかりにもなります。たとえば、OpenAI および DeepMind はハードウェア製品(ロボットおよびコンシューマー向けデバイス)への投資を進めていますが、Anthropic はコア製品の改善に焦点を当てています。
- 求人ページからは、各社が重要なリソース(計算資源およびデータ)を確保するための異なる戦略も読み取れます。たとえば、OpenAI には自社開発チップ関連の求人が21件ありますが、Anthropic にはこうした求人は1件もありません。
ただし、いくつかの注意点があります。求人広告は、企業が「採用したい人材」を反映したものであり、現時点でのチーム構成を示すものではありません。たとえば、20件の求人が掲載されている場合、それは既存の大型チームの拡大を意味する可能性もありますし、あるいはまだ存在しないまったく新しいチームの立ち上げを意味する可能性もあります。「研究エンジニア」という求人1件が、1名の採用を意味する場合もあれば、10名の採用を意図している場合もあり、あるいは最終的に採用に至らない場合もあります。
GTM(Go-to-Market)が、OpenAI および Anthropic の最大の採用分野となっている
過去1年間で、OpenAI および Anthropic の営業および営業関連職種の募集は大幅に増加しました。Anthropic の GTM 関連職種の割合は17%から31%へ、OpenAI は18%から28%へと上昇しました。収益が急速に伸び、市場はまだ十分に成熟していない状況において、これは驚くべきことではありません。現在、営業関連職種は両社で最も多くの求人を占めています。これに対し、研究職種は、Anthropic の求人全体の12%、OpenAI の7%にすぎません。

図:OpenAI および Anthropic の各職種の割合変化
なかでも最も急増しているのは、顧客が実際にAIを活用できるように支援する技術職種という細分化されたカテゴリーです。両社とも、「AIサクセスエンジニア」「パートナーAIデプロイメントエンジニア」「ソリューションアーキテクト」「フロントラインデプロイメントエンジニア」などの役割を募集しており、その職務内容は、顧客がAIの活用シーンを発見し、それをシステムに統合できるよう支援することです。過去1年間で、Anthropic の「導入・採用支援」関連職種の割合は5%から11%へ、OpenAI は11%から17%へと上昇しました。これは、顧客がAI製品を十分に活用できていないことを示しており、このギャップを埋める鍵は、顧客に対して「AIが何ができるのか」を教えることにあります。
営業職種の地理的分布からも、市場の重心が読み取れます。両社の営業職種の過半数が米国に設置されています(Anthropic は52%、OpenAI は55%)。両社とも地域別の収益構成については公表していませんが、求人の集中度から判断すると、米国は依然として絶対的な主力市場であることがわかります。
国際展開に関しては、両社とも欧州およびアジア太平洋地域で積極的な採用活動を展開しています。Anthropic は欧州に重点を置いており(29% vs OpenAI の21%)、OpenAI はアジア太平洋地域に重点を置いています(24% vs Anthropic の19%)。アジア太平洋地域における成長は、日本、韓国、インド、シンガポール、オーストラリアに集中しています。一方で、中国、中東、ラテンアメリカ、アフリカは明確に欠落しています。各研究所がグローバルな営業展開に注力していることは、欧州およびアジア太平洋地域の地場企業によって自社の市場から駆逐されると考えていないことを示しています。
政府向け営業も重要な戦略分野です。OpenAI および Anthropic はそれぞれ10件の政府向け営業職種を募集しており、連邦政府(民生および国防部門)および州・地方自治体を対象としています。そのうち、OpenAI は国家安全保障分野に特化した職種を1件、Anthropic は同様の職種を2件募集しています。xAI は国際政府向け営業職種を2件(ロンドンおよびドバイに所在)、米国政府向け営業職種を1件募集しています。こうした職種の存在は、政府が基盤モデル研究所にとって重要な収益源となることを示唆しています。
Anthropic、OpenAI、xAI とは異なり、DeepMind の求人ページには営業関連の動向はほとんど見られません。これは、Gemini の流通が Google 社内の既存営業組織によって担われているためです。
求人ページから読み取れる OpenAI および DeepMind の新製品方向性
求人情報からは、各社がどのような製品を開発しているかも読み取れます。Anthropic は Claude Code の改善に向けた製品・エンジニアリング職種を5件、OpenAI は Codex の改善に向けた同様の職種を10件募集しています。また、両社とも金融サービス分野向けのエンジニアリング職種をそれぞれ1件ずつ募集しています。さらに、OpenAI は ChatGPT Health および OpenAI for Healthcare の新機能開発に向けた職種を3件募集しています。
ただし、既存製品に関しては、求人ページからの読み取りには限界があります。ある職種が既存機能の拡張を目的としているのか、それとも全く新しい製品の構築を目的としているのかを判断するのは困難です。また、プラットフォームやインフラ関連の職種は、しばしば複数の製品ラインを横断して存在します。そのため、求人情報は「新たな賭け」を明らかにする際に最も価値を発揮します。
第一に、OpenAI はコンシューマー向けハードウェアデバイスの開発を進めています。 このプロジェクトには15件の求人が掲載されています。これらの求人から、多くの詳細が浮かび上がります。「Camera ISP ソフトウェアエンジニア」の求人では、バッテリー駆動の携帯型デバイス向けイメージングシステムの構築が求められています。「研究エンジニア」の求人は、デバイス上で直接トランスフォーマーモデルを実行することに焦点を当てています。「OSエンジニア」の求人では、自社開発チップについて言及されています。これらを総合すると、これはカメラを搭載し、自社開発AIチップを搭載し、エッジ側でAIモデルを実行可能な携帯型デバイスである可能性が高いと考えられます。さらに、シンガポールに所在するハードウェアおよび運用関連の2件の求人は、製造体制の整備が進行中であることを示唆しています。DeepMind もハードウェアに注力しており、XR(拡張現実)眼鏡の開発に関連する職種を2件募集しており、そのうち1件は音声コマンドを主要なインタラクション手段とする予定であることを示唆しています。
第二に、OpenAI および DeepMind はロボット分野にも注力しています。 OpenAI はロボット関連の求人を7件募集しており、大規模なシミュレーション学習およびシミュレーションのリアリズム向上を目的としています。また、一部のロボットには柔軟な部品または外装が採用される可能性があり、生産量が増加段階にあることも示唆されています。DeepMind はロボット関連の求人を9件募集しており、器用な手を持つヒューマノイドロボットの開発を目指しています。
ハードウェア以外では、OpenAI は育成段階のソーシャル製品向けに2件の求人、さらにユーザーがスキルを習得・認定を受け、雇用主とマッチングできる「就業プラットフォーム」向けに1件の求人を募集しています。Anthropic は、まったく新しい製品カテゴリーの探求に特化した研究プロダクトマネージャー職種を1件、消費者向け新製品に特化した職種を1件募集しています。
求人ページから読み取れる各社の計算資源およびデータ獲得戦略
各研究所の求人情報は、計算資源およびデータといったコアインプットに対する異なる戦略も示しています。最も明確な違いは、「自社で計算インフラを構築する」か「外部から調達する」かという点です。
OpenAI には自社開発チップ関連の求人が21件あり(主にエンジニアリング職種)、これは現在の全求人の3%に相当します。一方、Anthropic は自社チップ開発の道を選ばず、代わりに外部パートナーと協力してデータセンターを設計・建設するという別の方針を採用しています。具体的には、「データセンター機械エンジニア」が外部企業の冷却および機械システム設計を指導し、「データセンター設計実行責任者」がAnthropicの技術要件と第三者ベンダーの納品能力との橋渡しを担当するという職種が存在します。また、Anthropic にはデータセンターまたは共用ホスティング契約の交渉に特化した法務職種が3件あります。
求人情報で目立つもう一つの方向性は、強化学習(RL)の訓練環境の構築です。Anthropic は、モデルの新たな能力を訓練するための環境構築に複数の職種を充てており、そのうち「環境拡張」チームはRL環境の構築およびベンダー管理を担当し、「Universes」チームは超リアルな長期継続型エージェント訓練シナリオの構築を担当しています。OpenAI も「合成RL」チームの研究員を募集しており、自己対戦、シミュレーター、合成フィードバックに基づくRL訓練手法の開発を進めています。
OpenAI、Anthropic、DeepMind とは異なり(これら3社には専門の人間によるデータアノテーション職種が存在しません)、xAI の求人情報は異なるデータ戦略を示しています。xAI には人間によるデータアノテーション職種が27件あり、これはxAIがデータアノテーション業務を内部で完結させようとしていることを示唆しています。xAIがこうした職種を公然と募集している点も興味深いです。他の研究所も大規模な人間によるアノテーションに依存していますが、通常は外部委託または非公開での募集を選択しています。
まとめ
求人情報は不完全な指標ではありますが、トップレベルのAI研究所の進化を観察できる数少ない公開窓口です。現時点で浮かび上がっている図像は、こうした企業が営業および製品の実装に多大な投資を行い、新たな製品カテゴリーへの拡張を進め、計算資源およびデータといった重要なリソースを巡って競争を展開しているというものです。各研究所が今後も拡大を続け、戦略がさらに分化していくにつれ、その求人ページは引き続き、最も有効な観察窓口の一つであり続けるでしょう。
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