
百度AI、再び「包囲された城」に陥る
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百度AI、再び「包囲された城」に陥る
10年ぶりに、百度は再び同じ問題に直面している。
筆者:許俏美、産業テック

画像出典:無界AI生成
ALL in AIの百度は、今やAIに包囲されている。
2025年、DeepSeekの爆発的ブレイクと各大手プラットフォーム・企業の次々な連携を受けて、人工知能市場の構造は劇的に変化した。オープンソースかつ無料のAIモデルが、クローズド型AIモデルのビジネスモデルに新たな挑戦を突きつけており、次のAI競争で誰が先頭に立つかが注目されている。
ここ数年、中国国内のAI分野には多くのプレーヤーが集結している。アリババ、テンセント、字節跳動などの大手インターネット企業から、「AIシックスマジェスティック」と呼ばれるAIベンチャー、そしてDeepSeekのような話題のAIスタートアップまで、多種多様な存在がひしめく中、百度にとっても再びAI戦略転換後の重大な試練が迫っている。

百度は国内でいち早くAI技術への全面展開を打ち出した企業の一つであり、かつて百度から巣立ったAI人材たちが中国のAI起業ブームを牽引する重要な力となった。このため、かつて「AIの黄埔軍校」とも称された。しかし、「後出し感」を払拭できず、次の一手が極めて重要となる。
逃したAIの「黄金蓄積期」
数日前、百度は2024年第4四半期および通年の財務報告を発表した。データによると、2024年の総収益は1331億元で前年比1%減、純利益は234億元で同21%増となった。
主要事業の一つである2024年第4四半期のオンラインマーケティング収入は179億元で前年比7%減少。2024年12月時点の百度アプリの月間アクティブユーザー数(MAU)は6.79億人で前年同期比2%増だったが、前四半期の7.04億人から3.55%減少した。
こうした明暗の混じる財務報告に対し、李彦宏氏は決算会見で「AIクラウド事業は堅調な伸びを見せ、収益が前年比26%増加し、オンラインマーケティング事業の低迷を相殺した。これは当社のAI技術に対する市場の広範な評価によるものであり、今後もAI分野への投資を継続し、この大きな技術トレンドの最前線に立ち続ける」と述べた。
だが、AI技術の最前線に立つのは簡単ではない。もし百度がOpenAIのChatGPTやGoogle DeepMindに匹敵する成果を達成できれば、AIでの逆襲も可能だろう。しかし現状では、2017年に「ALL in AI」を宣言してからすでに数年が経過し、AI技術の黄金期は過ぎ去っており、他社との差をつけられないままの百度がAIを足場にして再び超巨大企業へ返り咲くのは、ますます困難になっている。

インターネットテック大手の中でかつて「BAT」と並称された百度だが、現在ではその呼称も聞かれなくなった。百度の収益規模はアリババやテンセントとはもはや同一レベルではないのだ。
アリババは2024年第4四半期に2801.54億元の収益を上げ、前年比8%増。うち淘天グループだけで1360.91億元を記録。テンセントは2024年第3四半期に1671.93億元の収益を上げ、前年比8%増。両社の単独四半期収益はいずれも、百度の年間収益を上回っている。
今年の決算会見でアリババCEOの呉泳銘氏は、今後3年間でクラウドとAIインフラへの投資額が過去10年間の合計を上回ると発表。テンセントもWeChatなどのSNSを活用し、AI分野で積極的な動きを見せている。両巨頭はともに豊富な「資金・資源」を背景にAI競争を展開している。
AI技術で百度が再びトップ企業の仲間入りを果たせるのか?本来であれば可能性はあったはずだ。ただし、そのためには中国国内の他社を大きく引き離し、世界トップレベルに到達しなければならない。
一例として、OpenAIは2015年の設立当初は目立った製品を持たなかったが、AI技術への継続的な注力により2022年にChatGPTをリリースして一気に世界的ブレイクを果たし、全世界のAI関係者に深い考察を促した。現在でも最先端の大規模AIモデルのリーダー的存在であり、Google DeepMindのAlphaGoシリーズに続く新たなAI技術の飛躍を実現した。

2025年、ソフトバンクグループがOpenAIに400億ドルの投資を完了すれば、同社の投後評価額は3000億ドルに達する見込みだ。これはどれほどの規模か?アリババの米国株式時価総額は約3400億ドル、テンセントは約5140億ドル。仮に百度が「ALL in AI」転換後に中国で最初にChatGPT級のAIアプリをリリースし、技術的リードを維持できたなら、3000億ドル+現在の百度時価総額約320億ドルを足して、アリババ・テンセントと肩を並べることも不可能ではなかっただろう。残念ながら、それは「もしも」の話に終わった。
百度は2012年初頭からディープラーニングの研究と応用を開始しており、2013~2015年にかけて百度ディープラーニング研究所(IDL)、ビッグデータ研究所(BDL)、シリコンバレーAI研究所(SVAIL)などを相次いで設立。国内外のAI分野における多数の世界的専門家を一度に集めた。2017年にようやく「ALL in AI」を正式発表したとはいえ、時期的には遅すぎたわけではない。問題は、このAIの黄金蓄積期にどのようなAI技術をどう展開するか――世界トップレベルを目指すのか、それとも早期の商業化に走るのか。その選択がそのまま物語の結末を決めた。
DeepSeekがグローバルテック大手に衝撃を与えた事例は、非常に良い参考になる。彼らはオープンソース無料モデルでありながら、OpenAIの旗艦モデルo1に肩を並べる性能を達成した。だが一方で、OpenAIにはまもなく登場するGPT-4.5やGPT-5がある。これに対して誰が対抗できるのかは、中国のAI企業全体への試練であり、百度がそのトップを取れるかどうかはまだ不明だ。
長期的に見れば、百度が中国の最先端AI技術を代表できるかどうかが、AI逆襲の鍵を握る。しかし、もう蓄勢の時間も機会もない。激化するAI市場での突破は、10年前と比べて難易度が何倍にも跳ね上がっている。
追い詰められた「オープンソース・無料」転換
かつてPC時代からモバイルインターネット時代への移行期に、百度は競争で後れを取って大きなチャンスを逃した。最近のAI市場の変化も、激しい「AIエントリーポイント」争いによって、百度にやや不利な状況をもたらしている。長年AI技術に注力してきたにもかかわらず、AI市場の潮流を捉えきれていなかったように見える。
特に、テンセントがDeepSeekの熱狂に乗じてAI市場に本格参入したことは極めて重要な動きだった。「国民アプリ」WeChatがDeepSeek-R1のフルパワー版を導入した瞬間、未曾有の注目を集めた。さらにテンセントは膨大なユーザー基盤を武器に「AI検索」市場に攻勢をかけている。データによると、WeChatおよびWeChatの統合MAUは13.82億人に達しており、これらのユーザーにAI検索の習慣を定着させることは、莫大なビジネスポテンシャルを持つ。
その後も、Tencent Yuanbao AIモデル、ima、QQブラウザ、Tencent AIコードアシスタント、Tencent Cloud智算など、一連の製品群が相次いでDeepSeekを採用し、市場での追い上げを加速している。

一方、アリババは「Apple AI」の追い風を受けて再評価の対象となった。調査機関QuestMobileのデータなどによると、中国におけるAppleユーザーは約2.5億人。Apple AIが中国に上陸するにあたり、長年AI技術に注力してきた百度が最優先の提携候補と思われたが、最終的にはアリババが選ばれた。
Canalysのデータによると、2024年第3四半期においてアリババクラウドは中国本土クラウド市場で36%のシェアを占め、首位に立っている。また、Deepseekがグローバルなオープンソースコミュニティで注目を集めた後も、アリババ傘下の通義千問(Qwen)シリーズモデルは高い注目を集めている。現在、Qwenシリーズのダウンロード数は累計1.8億回に達し、派生モデルの総数は9万件に上り、Meta Llamaを抜いて世界最大のオープンソースモデルシリーズとなった。クラウドコンピューティング、AI技術の影響力のいずれを重視しても、Appleがアリババを選んだ理由は十分にある。
新興巨頭の字節跳動は2025年1月にAGI長期研究チーム「Seed Edge」を結成。公開データによると、2024年12月時点で同社のAIアプリ「DouBao(豆包)」のMAUは7500万人を超えるまでに成長。百度の「新検索」ツール「文小言(WenXiaoYan)」アプリにとっては無視できない強力な競合だ。また、QuestMobileのデータによると、字節跳動傘下の抖音(TikTok中国版)は2025年に重複排除後のユーザー数が11.08億人に達し、AIアプリ普及を推進する最強のチャネル・エンジンとなっている。
こうしたDeepSeekの波、アリババ・テンセント・字節跳動のAI競争に対して、百度の「波乗り」はやや弱さを見せている。

2024年の世界AI大会期間中、李彦宏氏は公の場で「AIモデルの競争ではなく、アプリケーションの競争に注力すべきだ」と述べ、「基礎モデルだけあっても、アプリケーションがなければ、オープンソースであろうとクローズドソースであろうと価値はない」と指摘した。
しかし、市場の流れに追いつくため、これまで一貫してクローズド型AIモデルを推進してきた百度も、最近になってDeepSeekとの連携を含む一連の措置を発表した。例えば、百度検索がDeepSeekと文心大模型のディープサーチ機能を全面的に統合すること、文心大模型が4月1日より全面無料化されること、文心大模型4.5シリーズが今後数カ月以内にリリースされ、オープンソース化されることなど。しかし、このような調整だけでは今のAI市場競争において明確な優位性は得られず、オープンソース化後の新たなビジネスモデル構築も大きな課題となっており、市場をリードできない百度は選択肢を失いつつある。

文心大模型4.5シリーズのオープンソース化が業界に衝撃を与えるかどうかが、百度の次の一手の成否を分けそうだ。しかし、オープンソース・無料化だからといって技術水準の要求が緩むわけではない。百度がAI技術革新においてDeepSeekやアリババQwenのオープンソース影響力を上回れるか、無料アプリとしてDouBaoのような強力アプリの台頭を抑えられるか、まさに正念場を迎えている。
百度は依然として内なる「解答」を求めねばならない
AI技術のサブカテゴリーである自動運転分野でも、いくつかの市場変化が起きている。
2025年初頭、かつて自動運転のユニコーンと称された二つの企業――縦目科技(Zongmu Technology)とTuSimple(図森未来)の将来が危ぶまれていると報じられた。縦目科技は資金繰りの枯渇や上場失敗などで経営危機に陥っている。TuSimpleは経営陣の対立や転換の困難に直面し、一部チームの解散を発表した。
一方、既に上場を果たした文遠知行(WeRide)と小馬智行(Pony.ai)は最近時価総額を伸ばしている。2025年2月21日時点で、文遠知行(WRD)の時価総額は67.03億ドル、小馬智行(PONY)は91.72億ドル。
しかし、「自立的収益力の不足」は自動運転分野が未だ克服できていない課題だ。財務報告によると、文遠知行の2024年前三季度の総収益は2.2億元で前年比14.3%減、純損失は19.24億元、調整後純損失も5.56億元に達している。小馬智行は2024年前半に2472万ドルの収益を上げたが、純損失は5178万ドル。

文心大模型以外に、百度が重点展開する自動運転サービス「ロボタクシー(蘿蔔快跑)」も、短期的には有力な成長事業とはなりにくい。さらに市場環境も厳しく、ファーウェイやDiDi(滴滴出行)などが自動運転分野に急速に進出する中、自動車メーカー各社もこぞってスマートキャビンや自社開発の自動運転技術の開発を加速しており、競争はますます激化している。ロボタクシーがその中で抜け出すのは、極めて困難な状況だ。
つまり、AI分野で業界トップになれなければ、第二、第三の位置に甘んじるしかない。そうなれば、競争環境はさらに混雑する。
『グローバルデジタル経済白書(2024年)』によると、2024年7月時点で世界のAI大規模モデルは1328あり、中国のモデル数はその36%を占める。この割合から計算すると、中国のAI大規模モデルは約478件。背後には多数の分野別企業が関わっている。
現状の傾向から見れば、AI産業は間違いなく「遍地開花」の様相を呈している。ALL in AIを掲げる百度がAIの波に乗ってどこまで飛翔できるか。これは市場環境の変化が生んだ新しい問題というよりも、百度自身が今すぐ内なる答えを見出さなければならない古い課題なのである。
PC時代からモバイルインターネット時代への転換、そしてモバイル時代からAI時代への移行――その過程で、いったい何を失ってしまったのか?
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