
チェーン抽象漫談:本当に使いやすくなったのか、それともまた新しい流行語か
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チェーン抽象漫談:本当に使いやすくなったのか、それともまた新しい流行語か
チェーン抽象の最終目標はシンプルだ。開発者がどこにでもデプロイできるようにすることだ。
翻訳:TechFlow
チェーン抽象(Chain Abstraction)は現在、注目の的となっているが、その理由は明らかだ。すべての暗号資産関係者が、消費者にとってオンチェーン参加をより容易にするツールに期待しているからである。
しかし多くの議論は、なぜ我々がここに至ったのかという点に触れず、私はそれが「開発者もまた利用者である」という事実から始まると考えている。現在、開発者は異なるエコシステム、技術スタック、コミュニティ間で選択を強いられており、これが一種のロックイン構造を生み出している。時に不適切かつ持続不可能なインセンティブが、開発者の注目すべき問題への集中を歪めることさえある。開発者はユーザーであり、どこで構築するかを強制されるべきではない。
開発者が直面する中心的な課題の一つは、自らのアプリケーションをさまざまな技術スタックや基盤インフラと統合しようとすること、あるいは多様なアプリケーションで動作可能なインフラを構築し、クロスエコシステムにおけるコミュニティの忠誠心に対処することである。さらに、暗号資産分野には無数の異なる標準が存在するように感じられ、これも開発者にとっては助けにならない。

(画像出典:xkcd: 標準)
歴史的に、これは開発者に特定のエコシステムだけを選んで構築するよう強いることが多く、エコシステムの創設者はこの事実をよく理解しており、開発者の注目を積極的に獲得することで、さらなるロックインと非持続性を助長してきた。その結果として、プロジェクトは中途半端なマルチチェーン展開を選んだり、単一の孤立したエコシステムに深く依存したりする。どちらにも問題があるが、チェーン抽象はこれらの課題を解決しようとしている。
チェーン抽象の最終的な目標はシンプルだ:開発者はどこでもデプロイできるようになる。なぜなら、ユーザーに届く必要がなくなるからだ。ユーザーはシームレスにエコシステム間を越境して相互作用でき、あらゆる流動性とあらゆるチェーンを利用できる。利便性が鍵であり、最大の恩恵を受けるのは、ユーザーのオーダーフローを受け取る(ますます集中化する)インターフェースかもしれない。
チェーン抽象という概念は広範で、定義も緩やかであり、一部の人々はそれがまったく虚偽だとさえ考える。むしろそれは、ユーザーと開発者の操作を容易にする一連のプリミティブ、インフラ、ツールの集合体にすぎない――多くの要素が「チェーン抽象」という枠組みに収まる。私は後者の見解に同意し、こうした進歩が全体として前向きかつ必要なステップだと考えている。

以下では、チェーン抽象ソリューションを構築する企業について網羅的ではない概要を示し、将来に関する私の予測を共有する。
CEX がチェーン抽象の一部として果たす役割
おそらく最も広く使われているチェーン抽象プラットフォームは、Coinbaseそのものだろう(提供資産数に限りがあり、中央集権的であるものの)。一つのインターフェースを通じて、ユーザーは異なるチェーン上のさまざまなトークンを購入・売却できる(ホットウォレット方式ではあるが)。これがCoinbaseの高い採用率と収益の主因の一つとなっており、チェーン抽象全般にとって良い兆候である。これは、利便性には市場があり、ユーザーは一つのインターフェースでの機能性と簡潔さに価値を見出し、支払いを惜しまないことを示している。
コア層インフラストラクチャ
チェーン抽象が真に普及するためには、暗号資産分野で確立された標準に根本的な変更が必要だとする意見もある。その一例がOneBalanceで、既存のJSON RPC(暗号資産業界の標準)をネイティブに拡張している。新しい標準により、アプリケーションが直接ウォレットと通信できるようになる。彼らの新APIは、基本的にイーサリアム、ビットコイン、Solana、およびそれらのチェーン上のあらゆる資産・スマートコントラクトと下位互換性を持つ。3つの主要チェーンにまたがる取引に加え、このアーキテクチャ(CAKEフレームワークと呼ばれる)は、ガス抽象、ソーシャルリカバリー、認証も含む。ユーザーは高速なステートトランジションの恩恵を受けられる。なぜなら、ソルバーは元のチェーンでのファイナリティを待たずにターゲットチェーン上でステート変更を要求できるからだ。最終的な目標は、Metamaskなどのウォレットがアカウントモデルを統合し、ユーザーがこの新アーキテクチャの恩恵を直接受けられるようにすることである。具体的には、理論的にはユーザーがETHを使ってWIFを購入する際に、Solanaの速度(イーサリアムの速度ではなく)で取引できるようになる。

OneBalance の RPC メソッド拡張
別の企業 Orb Labs は、アカウントレベルではなくノードレベルでチェーン抽象を解決するプロバイダーを目指している。彼らのシステムは、OrbyEngine(ウォレットがすべてのチェーン上のアカウント状態を集約・編成するために使えるスマートRPCエンドポイント)と、OrbyKit(アプリのフロントエンドに同じ機能を提供するdapp SDK)で構成される。OrbyEngineは、ユニバーサルインテンツプロトコルと特殊なノード(アカウント統一ノード)を組み合わせて、アカウント状態を集約・編成する。
まとめると、任意のウォレットやdappがたった5行のコードでチェーン抽象、ガス抽象などを実現できるようになる。このダイナミクスは、ユーザーとウォレット、アプリケーション、チェーンの相互作用のあり方を根本的に変え、もはやエコシステム間のブリッジングや資産の手動移動を気にする必要がなくなる。チェーンは事実上消え去り、ユーザーがどこにいようと、他のチェーンのすべてのアカウントと資産を使って取引できるようになる。これは、「特定のチェーンに接続する媒介」としてのウォレットの概念を覆し、「ユーザー・資産・dapp間の関係を管理する、チェーンに依存しない接続メカニズム」へと転換する。

NEAR もコアインフラ側に位置し、すでにチェーン抽象をL1にネイティブに統合している。彼らのチェーン抽象スタックを通じて、開発者は以下のことが可能になる:
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ユーザーのガス代を即座に補助できるようになり、NEARのマルチチェーンガスリレーヤーを通じたクロスチェーン取引も含まれる。
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NEARのマルチチェーン署名サービスを利用して、ユーザーはNEARアカウントで他のチェーン上で取引できるようになる。
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FastAuthを使用すれば、ユーザーはメールアドレスでNEARアカウントを登録(または復旧)でき、馴染み深いWeb2体験を提供する。
こうしたプリミティブは、開発者にシームレスな体験を提供する上で極めて重要であり、このようなスタックが作り出すものは、ユーザーにもポジティブに波及する。
ブリッジによる統合
もう一段上のレイヤーでは、多くのブリッジプロバイダーがチェーン抽象に取り組んでおり、中でも最も有名なのがAcrossである。このプロトコルは、完全に機能する(公開済み)インテンツエンジンを持ち、トランスポート業者が最適な実行経路で競い合い、ユーザーの注文を満たそうとする。
今日、Acrossは唯一のリアルタイムなクロスチェーンインテンツ駆動ブリッジプロトコルであり、大口・小口問わず実際に利用可能だ。市場も反応しており、Acrossはほぼ100億ドル相当の取引量と600万件以上の取引を処理している。開発者は、dappに橋接抽象フレームワーク「Across+」を簡単に統合でき、ネイティブにチェーン抽象を有効化できる。これは、チェーン抽象が何を達成できるか、そして市場がそれをどう評価するかの初期の概念実証と言える。

Socket、およびBungee (ブリッジアグリゲーター)を開発したチームも、モジュラーなオーダーフローオークションを通じてチェーン抽象ソリューションを研究している。ユーザーがインテンツを提出し、ソルバーが埋め合わせを競う。SocketPluginを通じて、開発者はBungee(Socketのブリッジアグリゲーターで、クロスチェーン資産移転をサポート)をプロジェクトに直接統合できるウィジェットを追加できる。多くの場合、Bungeeは実際にはAcross経由でルーティングされており、Acrossは2024年6月末時点で約50%の取引量シェアに達している。Socketや他のアグリゲーターにおいて、Acrossは最も安価なブリッジとして引用されており、約78%の時間で最安値を維持している。
統合されたインタラクション
ブリッジ(およびステーキング、ミンティング、レンディングなど)に加えて、スワップはユーザーがオンチェーンで行う最も人気のある操作であり、したがってプロジェクトが活用できる最大のTAMでもある。UniswapX や Matcha といったプラットフォームはスワップに特化しており、ガスの抽象化、流動性ソースの集約による取引コスト削減、効率的なクロスチェーン取引の実現を目指している。通常、これは何らかのソルバーが関与し、オーダーフローを最も効率的に満たすために競合する形態を取る。ソルバーは交換者に代わってガスを支払い、注文をまとめて処理することで価格改善を図り、ユーザーはガス代用トークンを気にする必要がなくなる。

ミドルウェアフレームワークとインターフェース
いくつかのチームは、これらのプロトコルを支えるレイヤーを構築している。例えば、Light は、AcrossやUniswapXなどを含む他のクロスチェーン相互運用性プロトコルの下位層に位置し、ユーザーインタラクションのためのチェーン抽象ミドルウェアとして機能できる。特に注目すべきは、LightがEVM内で複数チェーンにまたがるあらゆる設定——条件、DCA、インテンツグラフなど——を表現可能であることだ。多くのインテンツベースプロトコルが当初は指値注文のみをサポートするのに対し、Lightはより広範である。さらに、Lightはオーダーフローオークションを使用し、ユーザーが条件、セキュリティ、クロスチェーン決済をプログラム可能にすることで、最適な執行を確保する支援を行う。

この分野のもう一つのプロジェクトであるGeniusは、Lit Protocolと協力してチェーン抽象ソリューションを構築している。Litは、Geniusの流動性アーキテクチャの基盤となる署名スキームとして機能する。当初はEVM、SVM、ビットコインをサポートし、インテンツルートではなく、分散型トランスポートと集約流動性の立ち上げに焦点を当てる。
インテンツがチェーン抽象の一部として果たす役割
インテンツは通常スワップに焦点を当てており、最終目標は、ユーザーがブリッジなしで任意の資産を任意のチェーンで取引できるようにすることにある。以下は最近注目したプロジェクトたちだ:
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Slingshotは、インテンツベースのオンチェーンアプリで、ユーザーはブリッジ不要・非ホットウォレット方式で異なるチェーン間で取引できる。極めて簡素化されたユーザーエクスペリエンス——ガス代用トークン不要、ウォレット接続ボタン不要、ブリッジ不要、任意のデバイスでログイン可能、ワンクリックで売買——を提供することで、ユーザーのオンチェーン参加意欲を高める。欠点としては、ユーザーは各サポートチェーンの金庫にある資金量に制限されるが、それでもこのアーキテクチャはより多くのオンチェーン活動を促進する。
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BlackwingはInitiaを使って、分散型の取引抽象層を開発している。その強みは、UniswapのLPポジションを担保として使用することで、清算不要のレバレッジ取引を可能にすることにある。これにより、大きな損失リスクが実質的に減少すると同時に、利益の加速も実現する。
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Essentialは、独自のインテンツベースOptimistic L2を開発中で、ソルバーが直接新たなステートとして解決策を提示する。この場合、詐欺証明は非常に簡潔であり、満たされない制約を証明するだけでよく、それがL1に投稿される。開発者はEssentialのDSL(ドメイン固有言語)を使って、インテンツフレームワーク内蔵のアプリを直接記述でき、より広範かつ複雑なアプリが存在し、L2上で相互運用できるようになる。
抽象化による大規模採用
あなたがどのブラウザやOSを使っていてもあらゆるウェブサイトにアクセスできるように、ユーザーは構築されたチェーンに関係なく、あらゆる暗号資産エコシステムにアクセスできるべきである。また、開発者がどのような技術スタックを使って構築しても、異なるエコシステム内の特定ユーザーにアクセスできないことで不利になるべきではない。これを実現するのは言うよりもはるかに難しいが、一度達成されれば、それが暗号資産の大規模採用の重要な触媒になると私は信じている。
Pedro Gomes氏のツイートにある通り:チェーン抽象とは、ソフトウェア設計が「チェーン中心」から「ユーザー中心」へと移行する変化である。チェーンが人間のために働くべきであり、人間がチェーンの使い方を学ぶべきではない。

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