
Hacker Houseでグローバルな開発者をどうやって惹きつけるか?
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Hacker Houseでグローバルな開発者をどうやって惹きつけるか?
Hacker House:ハッカーが共同生活し、共に学び、共に開発(build)する場所。
執筆:Harry Liu
長期間のコミュニティ生活やさまざまなハッカソンへの参加を通じて、長期的な共同生活が創造性と協働に強い触媒作用を持つことを実感しました。短期間のハッカソンと比べて、Hacker Houseには独自の存在意義があります。参加者には十分な交流時間があり、より成熟したアイデアを生み出し、能力や性格が互いに補完し合うパートナーを見つけ、さらにそのアイデアを検証する時間も確保できます。
私自身がHacker Houseで体験したのは、自由な思考が交差する特別な場であり、アイデアの実験場であり、共創の揺りかごでもあります。私は、ハッカソンと比べて、Hacker Houseのような長期的な共同生活・共同学習・共に開発する(build)というモデルの方が、画期的なアイデアやプロジェクトを生み出す可能性が高いと考えています。
――ren
この記事の主な内容は、2023年8月30日に山海坞で行われた講演を整理したもので、適宜加筆修正しています。
また、この記事の公開時期が、私たちがHacker Houseを始めてちょうど1周年にあたるため、1年間の取り組みを振り返る意味合いもあります。
コミュニティ自体は非常に広範なテーマですが、ここでは私たちの経験に基づき、非常に小さな視点から、つまりコミュニティ運営者の立場から、Hacker Houseを通じてグローバルな開発者をどう引きつけるかについて述べます。私たちの試みが、関係者の方々にとって新しいヒントになれば幸いです。
主催者側から見ると、Hacker Houseは費用対効果のバランスが取れたイベント形式です。
・柔軟な期間設定:数日から数週間まで、幅広く対応可能。
・少ない人的リソース:1〜2人で運営可能。
・高い組み合わせ自由度:Hacker Houseはほぼあらゆる状況で開催でき、単独でも、カンファレンスの周辺イベントとしても、ハッカソンに併設しても構いません。
・適度な資金投入:開催地によって異なりますが、5,000〜15,000米ドルが一般的な予算レンジです。
・コミュニティからの支持:開発者たちはもともと深い交流や協働を求める傾向があります。
・同じテーマに関心を持つ人々が集まり、議論が深まりやすい。
・優れた宣伝効果:イベント自体が話題になりやすく、カンファレンス周辺では主催者がサブイベントを歓迎するため、宣伝支援を受けやすくなります。また、Hacker House自体が「クールな」イベント形式であることも、注目を集める要因です。
これらの特徴から、Hacker Houseは現在多くのコミュニティや機関にとって好まれるイベント形式となっています。
Hacker Houseとは何か
私が考えるHacker Houseの定義は、「ハッカーたちが共に住み、学び、開発する場」です。
実は以前からHacker Houseは存在しており、固定された居住空間として、ハッカーが家賃を支払って入居し、技術活動やプロジェクト開発を行う場所でした。ここでの重点は「居住空間」と、そこで行われる活動にあります。
一方、私たちが考えるHacker Houseの核心は「イベント」にあり、共に住み、学び、開発することを含む活動そのものです。居住空間は一時的であり、活動を実現するための媒体にすぎません。資金面では、主にスポンサーからの支援を受けています。
Hacker House、ハッカソン、Pop-up city(ポップアップシティ)の違いがわかりにくい方もいるかもしれませんので、以下に比較表を示します。

Hacker Houseもハッカソンもプロジェクトを生み出しますが、Hacker Houseは期間が長い分、より完成度の高い成果が出ます。ただし、まだ商業化までの距離はあります。
私たちの取り組み
私たちは2022年10月から大理でHacker Houseを開催し、これまでに合計9回のHacker Houseを実施(海外6回)、50以上のプロジェクトを生み出してきました。その中には複数のハッカソンで受賞したり、助成金(grant)を獲得したプロジェクトもあります。
当初の計画では、国内で3回開催後、2023年4月に海外展開する予定でした。しかし当時は海外開発者コミュニティの運営経験がゼロで、どうやって開発者を集めればいいのか、Hacker Houseという形式が通用するのかも分かりませんでした。ただ「地理的に近い東南アジアから始めよう」という思いつきで進めていました。
国内2回目の開催後に一定の運営ノウハウを蓄積した頃、偶然ETHDenverの存在を知りました。「これは良いチャンスかもしれない。開発者集めの課題が解決できる」と考え、計画を変更して、2023年2月のETHDenver周辺でHacker Houseを開催することにしました。結果は大成功で、50件以上の応募があり、募集終了後にもメールで参加希望の問い合わせがありました。また、この期間中に素晴らしい人たちと出会い、その後のHacker House運営に大きな助けとなりました。以降、チェンマイ、日本、モンテネグロ、韓国、フランスでも順次開催しています。
ETHDenver以降、コミュニティからの認知を得ることができ、その後のスポンサー獲得も比較的スムーズになりました。ハッカーたちも私たちの活動を気に入ってくれ、継続的に参加し、支援してくれるようになりました。
その後、国内のコミュニティもHacker Houseに注目し始めました。そこで私たちは「Global Hacker House」を立ち上げ、6つのコミュニティと連携して複数都市でHacker Houseを開催しました。この記事を書いている時点(2023年9月3日)でも活動は継続中です。最大の収穫は、「自分の街でもHacker Houseを開きたい」という声を多数のハッカーから聞いたことです。まさに私たちが目指していた方向であり、より多くの人がHacker Houseを開催できるように支援したいと考えています。3〜5人規模で独立したHacker Houseを立ち上げることも可能にし、各地域でこのような活動が広がれば、非常に大きな意味があるでしょう。
また、徐々に分散化(デセントラライズ)を進め、コミュニティメンバー自身がHacker Houseを開催できるように支援しています。「Hacker House主理人」という役割を導入し、運営を担ってもらい、こちらはサポートに徹することで、将来的により多くの主理人を支援できる体制を目指しています。
次に、海外でのHacker House開催方法について説明します。
海外でのHacker House開催方法
ここではHacker Houseの運営方法を網羅的に紹介するわけではなく、概要を簡単に紹介することで、基本的な理解を促すことを目的としています。
準備段階
1. テーマの決定
テーマは可能な限り絞り込むことが重要です。特に、運営者が関心を持っている分野で、ある程度知識があるものが望ましいです。例えば、私たちが複数回開催してきたzkp(ゼロ知識証明)テーマは、私たちのコミュニティがもともと注目している分野だからです。
良いテーマ例:
・zkp
・zkml
・アカウント抽象化(Account Abstraction)
不適切なテーマ例:
・Infra
・Layer2
・Web3
テーマの絞り込みは、参加者同士の深い議論を促進します。逆に広すぎるテーマは議論を難しくし、参加者の募集も困難になります。
2. 開催地の選定
開催地の選定では、交通の便、ビザ取得のしやすさ、物価、インフラの整備状況などを考慮する必要があります。
もし私たちと同じように初期段階で開発者を集められないという課題があれば、カンファレンスやハッカソンの周辺で開催するのも有効です。既存のリソースを活用して立ち上げることができます。
ただし、カンファレンス周辺での開催の欠点は、ハッカーたちの注意力がメインイベントに奪われ、Hacker Houseに費やす時間が減ってしまうことです。
カンファレンスに依存しない場合は、自ら会場を選定します。4月にチェンマイで行ったHacker Houseは、どの大会にも依存せずに行いました。募集には多少のプレッシャーがありましたが、その分、開発者は活動に集中でき、より深い交流と成果につながりました。
3. 広報・宣伝
独自の宣伝チャネルに加え、公式ウェブサイトや周辺イベントのサイト、特に初期段階では弱い自前のチャネルよりも重要な外部チャネルを活用できます。また、協力パートナーが宣伝や募集を手伝ってくれることもあります。ある程度コミュニティに認知されれば、開発者たちが自然に情報を見つけてくれるようになります。
4. 面接と参加者選考
テーマに応じて、応募者に一定の要件を設けます。応募後は個別にオンライン面接を行い、双方の期待が一致するか確認します。具体的な要件はテーマによります。例えばzkpテーマでは、zkpプロトコルに関する基礎知識が求められるでしょう。アプリ開発系であれば、プログラミング経験とWeb3の理解があれば十分です。
注意点として、募集は早めに開始すべきです。例えば2ヶ月前からスタートし、最終リスト確定後も参加者がビザや航空券の準備に2〜4週間使えるようにしましょう。
5. スポンサー・協力パートナーの確保
協力パートナーは比較的獲得しやすく、開発者コミュニティ、メディア、関連プロジェクトなどが該当します。主な貢献は、彼らのネットワークを通じた宣伝・募集支援です。
スポンサーは多様な組織から得られ、投資機関、パブリックチェーン、テーマに関連するプロジェクトがよく支援してくれます。
6. 住まいの手配
私たちが利用する主なチャネルはAirbnbと友人の紹介です。主に2種類の宿泊形態を選びます。1つは「全体貸切」で、ホテルや民泊を丸ごと借り切り、作業場と居住スペースを一体化します。これにより、自然な交流が生まれ、新たな可能性が広がります。もう1つは「分離型」で、住まいと活動場所が別ですが、距離は1キロ以内に抑えるのが理想です。私たちは「全体貸切」を推奨していますが、「分離型」でも優れた成果を出した事例があるため、状況に応じて判断してください。
住まいの手配は面接と並行して進められます。最終的な参加人数を決めるために、参加者リスト確定前に宿泊先を押さえましょう。
開催期間中
ここでは3週間のHacker Houseを例に、通常どのようにスケジュールを組んでいるかを説明します。
0. オープニング
オープニングの一般的な流れ:
・主催者紹介
・各自の自己紹介
・各自のアイデア紹介
1. 1週目
1週目の目標は交流の促進です。さまざまなセッションや共有会を企画し、週末までにプロジェクトのアイデアを固めることを目指します。
毎週末には全員参加の進捗共有会を設けます。最初の週末は、アイデアの共有が中心で、発表形式は各自の裁量に任せます(スライドやホワイトボードなど)。
2. 2週目
1週目でアイデアが生まれ、お互いの関係も深まった後は、2週目でチーム編成と開発を開始します。この週も少数のセッションを行いますが、主に開発に集中します。週末には進捗共有会を開き、開発状況を報告します。
3. 3週目
3週目は開発のラストスパートと、最終発表(Demo Day)の準備に集中します。この週は基本的にセッションを設けず、全員がDemo Dayの準備に集中します。
Demo Dayでは、各チームがプロジェクトを解説・発表します。
「何かが競争の性質を持ち始めると、知識探求の意欲は失われる。」
――『アンチフラジャイル』
[米] ナッシム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)
ハッカソンとは異なり、私たちはプロジェクトに対して評価や表彰は行いません。目的は議論を深め、プロジェクトの改善につながるフィードバックを集めることにあります。
終了後
終了後は、まとめ記事と動画の公開を行います。どちらも非常に重要で、可能であれば両方を作成することをおすすめします。これらは貴重な記録となり、次回のイベント支援獲得にも役立ちます。
また、リトロスペクティブ(振り返り)も行います。運営上のどの部分が改善できるかを検討します。実際には、運営中から随時振り返りを行い、各プロセスの改善点を議論しています。
最後に
私たちがHacker Houseを開催するのは、自分たち自身のニーズを満たすためでもあります。カンファレンスやハッカソンでは得られない、志を同じくする人々との深い交流と協働を求めているのです。そして今、このニーズが世界中で普遍的に存在することに気づきました。人同士の健全な相互作用は、持続的な前向きな影響を生み出します。その影響が、新しいHacker Houseを通じてさらに広がっていくことを願っています。
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