
「番長」の政治的ファンド投資、5日間で50億円を急増
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「番長」の政治的ファンド投資、5日間で50億円を急増
張居正が国を謀ることに巧みで、身を謀ることに拙い典型だとすれば、マスクは呂不韋の化身であり、商売より政治へのベンチャーリスク投資を行うほうが優れている。
執筆:サヤ
良き息子が少女に目覚め、マスクは怒り心頭で共和党へと鞍替えした。「エルドライブラン」をクリアし、2022年10月28日、マスクは440億ドルを投じてTwitterを買収した。

当時のマスクの真意は誰にも分からなかった。シリコンバレーと民主党の結びつきはすでに30年以上続いており、たとえ不満を持つ者があっても、せいぜいバランスを取るために両党に寄付する程度だ。マスクのようにトランプに全面的に肩入れする実業家は、あまりにも異質だった。
しかし少なくとも、長年の友人であるピーター・ティールはそのすべてを理解していた。ティールはヴァンス氏の支援者であり、マスクが全財産を賭けた相手こそトランプだった。表と裏、主と従。今回の選挙はトランプリズムの勝利というよりも、むしろマスクとピーターティールによる逆転劇と呼ぶべきだろう。
結局のところ、マスクは商人である。支払ったコストには当然、より大きな利益を期待する。とりわけ政治への賭けは、政権交代ごとに清算リスクを伴う。今回勝利しても、4年後はどうか? 8年後はどうか? 真の支配者にならなければ、不敗の地位は築けない。マスクの考え方は極めて単純だ。アメリカのハイテク産業全体の代理人となり、新たな百万漕工(そうこう)の衣食父母となれば、政治的波乱にも耐えうる。
本稿では、マスクが今回の選挙にどれだけのコストをかけ、直接的・予想されるリターンがいくらになるかを概算してみる。
「田畑の利益は幾ばくか?」曰く、「十倍なり。」「珠玉の利得は幾ばくか?」曰く、「百倍なり。」「国家の主君を立てんとする利得は幾ばくか?」曰く、「無数なり。」
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Twitter買収の440億ドル。ただし現金ではなく、Tesla株式を担保にして借入を行った。例えばSequoia Capitalは8億ドルを提供した。
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America PAC。PAC(Political Action Committee)は個人の小口寄付上限を超えて寄付できる仕組みであり、その他いくつかの寄付を含め、マスク個人の寄付額は1.1億〜1.77億ドルの間とされる。

以上が最大の二つの支出である。直接的な寄付は約1億ドルだが、Twitter買収自体がトランプの選挙運動を支援するためのものと考えられるため、ここに含める。
次にマスクの利益を見積もる。まず注目すべきはTesla株価の上昇による資産増加だ。個人の純資産が1日で10%急騰。マスクはTesla株式の20.5%を保有しており、買収前は約22%を保有していた。Twitter買収後に株式売却期間があり、市場ではこの債務をマスク個人のものと見なしている。

もう一つの計算をしてみよう。440億ドルの買収資金のうち、Twitter自身が負担する債務は130億ドル。マスクは買収前後に時価約230.8億ドル相当の株式を売却した。TwitterのFacebook、Instagram、WhatsAppなど他のSNS製品に対する商業的価値は明らかに低いため、マスクが今回の選挙に費やした実質コストは 230.8 + 1.77 = 232.57 億ドルとすべきだろう。
この232.57億ドルというコストを基準にすれば、リターン率を5日間の上昇幅 (2900 - 2620) / 1.77 = 158倍などと計算するのは明らかに誤りだ。もし本当にそんな好条件があれば、金融市場の投機筋が一斉に参入するはずだ。マスクの実質利益は (2900 - 2620) - 232.57 = 47.43 億ドルと見るべきだろう。
もちろん、このような計算はあくまで仮定の話であり、真剣に考える必要はない。しかし興味深いのは、マスクが得た追加的利益だ。ビットコイン、ドージコイン、そして将来の政府契約など、短期的な投資収益よりも、こちらの方が実は大きい可能性がある。
人類の知恵は二語に含まれている。希望と待望である。
マスクは共和党・トランプの勝利に向けて2年間準備したが、SpaceXへの受注獲得の布石はすでに10年以上前から打たれていた。特に政府からの受注が中心だ。Teslaが初期に炭素排出枠の販売で稼いでいたのと同じ理屈である。事業規模が大きくなれば、政府や企業との関係を持たずにはいられない。こうした要素を考慮に入れ、理論上マスクが今回の選挙後に得られる金額を検証してみよう。

画像説明:Elon Musk 個人年表、出典:https://www.officetimeline.com/blog/elon-musk-timeline
まず、Teslaを通じて保有するビットコインについて。現在も11,509BTCを保有しており、これは2021年に15億ドルで購入した43,200BTCの残りである。平均購入価格は約35,000ドル。Teslaは一部を売却しており、損益はあったものの、現在の評価額は8.6億ドル。価格変動が激しく、またマスクの純資産が千億ドル規模であることを考えれば微々たるものだが、将来的な期待値として10億ドル程度と見積もっておく。
次にドージコインの利益だが、これは正確に計算できない。マスク自身が保有している可能性は高いが、確証がない。マスク関連銘柄/通貨の一環として扱うしかない。こればかりは算出不能である。
最後に政府契約について。多くの人が想像するのとは異なり、米国政府の財政支出はGDP比で長年40〜50%前後を推移している。政府契約は大手企業、特にハイテク企業にとって極めて重要だ。例えば今回の選挙で中立を宣言したアマゾンのベゾスは、トランプと対立したことで、マイクロソフトのクラウド(Azure)がAWSの失った数百億ドル規模の政府クラウドサービス契約を獲得した。余談だが、ゲイツはハリスに7500万ドルを寄付したものの、マイクロソフトは共和党にも多額の寄付を行い、DEI部門(Diversity, Equity and Inclusion:多様性・公平性・包摂性)を解体することで、柔軟な政治的立ち位置を見せている。
現在、マスク傘下の企業にはSpaceX、Twitter(X)、Tesla、The Boring Company、Neuralink、xAIがある。このうち政府契約の対象となる主な製品はロケット打ち上げとスターリンクなどの通信サービスだ。例として、2020年までのトランプ初代政権期に、マスクはNASAや空軍から合計約80億ドルの政府打ち上げ契約を獲得している。
現在、ボーイングの凋落(宇宙飛行士二人が今なお宇宙に滞在中)や、ベゾスのブルー・オリジンの開発遅延を背景に、トランプ二期政権下でのロケット打ち上げ契約はさらに拡大すると見られる。今年6月には、NASAがSpaceXに8.43億ドルの契約を授与している。
また、米国政府は次世代通信ネットワークの支援を強化しており、スターリンクはすでにアメリカ宇宙軍から7000万ドルの契約を獲得している。これらのサービスはトランプ政権発足により、さらに拡大していくだろう。
結語
張居正が「国を謀るは巧みなるも、身を謀るは拙し」とされる典型なら、マスクはまさに呂不韋の化身である。ビジネスよりも政治的ベンチャーキャピタルに投資する。230億ドル、2年間の布石により、Tesla株価だけで5日でコストを回収し、さらに約50億ドルの利益を得た。
長期的には、4年間にわたる政府契約や補助金が、D.O.G.E.(Department of Government Engagement:政府関与省)の現実化とともにますます具体化していくだろう。トップスポンサーは2兆ドルの政府支出削減を唱えるかもしれないが、自分の受け取る政府契約については決して除外されることだろう。
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