
BitVMとRGBプロトコル:ビットコインエコシステムを狙う「双星」
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BitVMとRGBプロトコル:ビットコインエコシステムを狙う「双星」
BitVMにより、ビットコインは他のチェーンと同様にチューリング完全性を持つことができるようになった。これにより、ビットコインの基本的なルールを変更することなく、開発者がビットコイン上で複雑な契約を実行できるようになる。
執筆:Echo, Infinitas
監修:洪蜀寧
10月9日、ブロックチェーン開発企業ZeroSyncの共同創業者であるRobin Linus氏はBitVMのホワイトペーパーを公開した。「任意の計算可能関数をビットコイン上で検証できる」。Linus氏はX(旧Twitter)での投稿でこう述べ、「これにより、ビットコイン上のスマートコントラクトの表現力が高まる。特に、ソフトフォークが必要だと考えられていた機能を実現できる」とし、ネットワークへのDeFiユースケースやスケーラビリティの拡大可能性を示唆した。
BitVMにより、ビットコインは他のチェーンと同様にチューリング完全性を持つことが可能になる。ビットコインの基本ルールを変更することなく、開発者が複雑なコントラクトをビットコイン上で実行できるようになるため、ビットコインはイーサリアムなどのスマートコントラクトプラットフォームと競合する可能性を持ち、議論を呼んでいる。

これまでにもBTCエコシステム向けにさまざまなプロトコルが登場している。例えばビットコインコア貢献者Casey Rodarmor氏が開発したOrdinalsプロトコルは、ビットコインネットワーク初のNFTを生み出し、OrdinalsおよびInscriptionsの概念を導入した。Taroプロトコルは新たなスマートコントラクト言語を導入することでビットコインのプログラマビリティを高め、金融プロジェクトの拡充を目指している。また、2016年にPeter Todd氏が提唱した「ワンタイムシール(Single-use seal)」および「クライアントサイドバリデーション(Client-Side Validation)」の概念に着想を得たRGBプロトコルも今年v0.10版をリリースしており、ビットコインを基盤資産として利用しつつ、ビットコイン上にスマートコントラクト機能をもたらすものとなっている。
これらのプロトコルはいずれもビットコインエコシステムの発展に新たな可能性を提供している。ビットコインネットワークの機能と拡張性を高めるだけでなく、コミュニティメンバーにさらなるイノベーションツールを提供することで、ビットコインエコのさらなる発展を促進している。
BitVMとは何か?
BitVMは「Bitcoin Virtual Machine(ビットコイン仮想マシン)」の略称。これを仮想的なテストラボとして捉えることができる。この仮想空間内で、開発者はあらゆる計算プログラムやスマートコントラクトを自由に操作・実行でき、実際のビットコインネットワークに負荷や変更を加えることなく、プログラムの動作をシミュレートできる。

中間層として機能することで、BitVMは効率を向上させ、ビットコインブロックチェーンの計算負担を軽減する。複雑な計算やスマートコントラクトは、不可逆的なオンチェーン操作の前にまずオフチェーンで検証される。これにより、ブロックチェーンの整合性が維持され、より複雑かつ安全な操作のためのプラットフォームが提供される。BitVMにおける主な役割とワークフローは以下の通り:
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参加者:BitVMの運用には2人の主要な参加者、つまり「証明者(prover)」と「検証者(verifier)」が関与する。証明者は計算または主張を行う当事者であり、検証者はその主張の正当性を確認する。双方が相互に検証を行うことで一定のチェック・アンド・バランスが成立し、計算結果の正確性と信頼性が保証される。
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オフチェーン計算:BitVMの独創性は、計算負荷の扱い方にある。従来のブロックチェーンのように大量の計算をオンチェーンで処理するのではなく、BitVMでは大部分の複雑な計算をオフチェーンで実行する。これにより、速度と柔軟性が向上し、オンチェーンに保存されるデータ量が削減される。
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オンチェーン検証:BitVMにおいてオンチェーンに必要なのは、紛争発生時の「詐欺証明(fraud proof)」によるオンチェーン検証のみである。検証者が証明者の主張に疑義を呈した場合、システムはビットコインチェーン上の改ざん不能な分散型台帳を参照して解決を図る。証明者の主張が誤りであると判明した場合、検証者は簡潔な詐欺証明をブロックチェーンに提出することで不正行為を暴露できる。このように、オフチェーン計算とオンチェーン検証を統合することで、計算効率と強固なセキュリティの両立を実現する。
RGBプロトコルとは何か?
RGBはLNP/BP標準協会によって開発された、スケーラブルかつ秘匿性の高いビットコインおよびライトニングネットワーク用スマートコントラクトシステムであり、イーサリアムのようなスマートコントラクトプラットフォームの高度なプログラマビリティと柔軟性をビットコインエコに持ち込む。これはプライベート所有および共有所有の概念を採用しており、トークンを導入せずに非ブロック型の非信頼型分散計算を実現する、チューリング完全な形式である。

RGBはUTXOベースのブロックチェーン(例:ビットコイン)上で、スケーラブルで堅牢かつ秘匿性の高いスマートコントラクトを実行することを目的として設計されており、デジタル資産やスマートコントラクトを通じてビットコインに新たな機能をもたらすことを可能にする。RGBを利用することで、開発者はトークン発行、NFTのミンティング、DeFi、DAO、さらにはより複雑なマルチクラスのスマートコントラクトを実行でき、ビットコインの強固なブロックチェーン上で継続的なイノベーションを刺激しながら、そのセキュリティを維持できる。具体的な実行手順は以下の通り:
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RGB資産の発行:ユーザーがオフチェーンコントラクトを作成してRGB資産を発行し、それらをビットコインのUTXOに割り当てる。これにより、RGB資産をライトニングネットワークのオフチェーン決済チャネルに追加できる。
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決済チャネル内での送金:支払いチャネルに追加された後、RGB資産はビットコインのライトニングネットワークの支払いのように、チャネル参加者間で転送およびルーティングが可能になる。このような転送はクライアントサイドで検証された取引によって完結する。

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「詐欺証明」:各チャネル更新時、資産はチャネルのマルチシグ出力から、ライトニングネットワークのコミットメント取引によって生成された出力へ送られる。つまり、古い状態のチャネルがブロードキャストされた場合、RGBのペナルティ取引がトリガーされ、攻撃者のすべてのRGB資産が没収される可能性がある。
BTCエコの次世代ナラティブ、最適解はどれか?
BitVMのホワイトペーパーを踏まえると、BitVMはビットコインに以下のような「新」機能を提供する:
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より複雑なコントラクトを実現可能。従来のビットコインコントラクトはデジタル署名やタイムロックといった基本操作に大きく制限されていた。BitVMはコントラクト作成に多くの新たな可能性をもたらす。ユーザーは金融取引のコントラクトだけでなく、より複雑な分散型アプリケーション(DApp)構築のためのコントラクトも作成できる。
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ブロックチェーンに直接保存されるデータ量を削減。BitVMの大部分の計算はオフチェーンで行われるため、ネットワーク全体の効率が向上し、不要なデータによるブロックチェーンの肥大化を防げる。これにより、ビットコインネットワークの健全性とスピードが維持される。
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強力な詐欺防止措置により取引の完全性を確保。BitVMは詐欺証明システムとチャレンジ・レスポンスプロトコルを使用し、すべての取引が誠実かつ透明であることを保証する。誰かが不正を試みたり虚偽の主張を提出したりした場合、検証者は簡潔な詐欺証拠をブロックチェーンに提出することで、不正な当事者を迅速に摘発できる。
しかし実際には、BitVMには避けられない限界がある
第一の限界は、「二者間設定(two-party setup)」に焦点を当てている点であり、現在のシステムは複数当事者間の取引やコントラクトを処理できない。これにより、多数の参加者によるより複雑なインタラクションへの適用性が制限され、新興のニーズや期待に応える能力が妨げられる可能性がある。
第二の限界は、必要なオフチェーンのデータ保存量および計算量が現代のコンピュータ能力をはるかに超えている点である。オフチェーン計算によりBitVMがブロックチェーンに与える影響を最小限に抑えることはできるが、膨大な計算負荷ゆえに実現不可能であり、理論的実行可能性にとどまる。
双方向チャネルを複数接続してネットワークを形成する(ビットコインのライトニングネットワークと同様)といったアイデアは、すでにシステムの機能拡張手段として検討されている。今後、大きな期待が寄せられているRGBプロトコルが、BitVMの限界を克服する突破口となるかもしれない。
BitVMとRGBの比較
BitVMとRGBプロトコルはどちらもビットコインの機能拡張を目指しているが、設計面でいくつかの重要な違いがある。BitVMはオフチェーン計算と詐欺防止に重点を置き、コントラクト実行と取引の完全性を確保するのに対し、RGBはプライバシー性の高さに特化している。
RGBはクライアントサイドバリデーション方式を採用しており、ユーザーAがユーザーBに資産を送る際、ネットワーク上で取引を公開せず、ポイントツーポイントで資産を送信する。この設計では、二重支出防止のためにのみ公共ネットワークを利用する。
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BTCネイティブ性:BitVMはビットコインプロトコルの変更を必要とするが、RGBはソフトフォークで実装可能
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完全なプライバシー保護:RGBプロトコルでは第三者がブロックチェーン上でRGB資産の履歴を追跡できない。資産を受け取ったユーザーBのみがその履歴を知ることができる。この点においてBitVMは対応できない。
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商用化:BitVMは極めて高い計算能力を要求し、理論的にしか実行不可能である。商業的実用化という観点では、RGBが優位である。

まとめると、BitVMの構想は創造性と想像力をかき立てるものではあるが、現時点での技術的枠組みから見ると、短期的にはホワイトペーパー上の理念段階にとどまる可能性が高い。長期的な応用シーンの探求や実際の応用においても依然として巨大な課題を抱えている。一方、RGBプロトコルはすでに大規模な商用応用において着実に前進しており、より成熟した特性を見せている。この2つのどちらがビットコインエコシステムの次世代ナラティブの突破口となるかはまだ不透明であり、あるいは他のプロトコルが台頭する可能性もある。今後の動向に注目したい。
参考文献:
https://www.theblock.co/post/255683/bitvm-bitcoin-smart-contracts
https://blog.bitfinex.com/education/is-bitvm-the-next-evolution-for-smart-contracts-on-bitcoin/
https://www.coindesk.com/tech/2023/10/11/bitcoin-might-get-ethereum-style-smart-contracts-under-bitvm-plan/
https://www.coinonpro.com/baike/157346.html
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