
字節系製品Gauthが海外で急浮上、AIアプリの海外展開にはどんな秘訣があるのか?
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字節系製品Gauthが海外で急浮上、AIアプリの海外展開にはどんな秘訣があるのか?
AIは重要だが、最も重要なことではない。
執筆:木沐
AIの風が吹き荒れる中、ByteDance傘下の教育製品「Gauth」が海外で活躍している。
七麦データによると、2024年4月15日時点で、GauthのiOS版アプリはアメリカの教育アプリランキングで第4位に位置し、4月8日には言語学習アプリ「Duolingo」に次ぐ第2位まで上昇した。
Data.aiのデータによれば、Gauthのダウンロード数は14.74万に達し、アクティブユーザー数は44.9万人。このデータサイトはアプリのモバイルパフォーマンススコア(MPS)を100点満点中98点と評価している。
2020〜2021年にリリースされた数学教科学習支援アプリとして、Gauthはこれまで教育アプリランキングでは目立たなかったが、今年初めから顕著な成績を残している。七麦データによると、過去3か月間でGauthのグローバルダウンロード数は14倍に急増し、デイリーアクティブユーザー(DAU)も1.4倍に伸びた。
Gauthは人工知能(AI)駆動型の学習ツールであり、数学・化学・生物・物理などの教育分野における問題に対して、ステップごとの解法を提供する。評価によると、Gauthは数学の解答能力においてアメリカの中学生(9年生)レベルに匹敵し、国語総合能力も高く、SAT試験の優秀な受験者と同等の水準にあるという。
追い風に乗ってGauthは急成長を遂げたが、海外市場の「パイ」を獲得できたのは、AIだけがその要因ではない。
写真撮影で問題を解くAIが教育リソースへ誘導
Gauthの爆発的成長は今年初頭に始まり、七麦データによると、2024年1月以降、同アプリはアメリカをはじめとする世界中の教育アプリ市場で異軍奮起。ユーザー総数は2億人を超え、人気言語学習アプリ「Duolingo」に次いで、アメリカ無料教育アプリランキングで一時第2位まで上昇した。

七麦データによるGauthの直近1年のランキング推移
Data.aiのデータによると、Gauthのアメリカ市場におけるデイリーアクティブユーザー数(DAU)は1月の50.56万人からピーク時には139万人に急増。世界的にはDAUが206.5万人に達し、年初比で1.4倍以上となった。また、単日のダウンロード数は4月初旬に14倍近くまで跳ね上がった。
つまり、Gauthはアメリカ市場だけでなく、国際市場でも存在感を示しており、なぜこれほど急成長したのか?
実際、Gauthは2020年12月に正式リリースされ、当初は「Gauthmath」という名称だった。運営主体はシンガポールに登録されたGAUTHTECH PTE. LTD.であり、株主はLEMON INC. ——これはByteDanceの子会社である。現在でもネット上で、当時ByteDanceがGauthmath向けに募集していたAIプロジェクトのインターン求人広告を見ることができる(現在は掲載終了)。
この学習ツールはリリース当初から二つの特徴を掲げていた:海外展開とAI技術だ。
当初のGauthは目立つ存在ではなかった。中国国内では、写真で問題を検索して解く機能を持つ教育アプリは珍しくなく、複数の教育分野に特化したテック企業が同様の製品を投入していた。それが内需市場での競争を避け、海外進出を選んだ理由かもしれないが、それでも海外市場では当初は注目されることがなく、教育アプリランキングでも無名の存在だった。
2023年、ChatGPTの影響で生成AIが一気に脚光を浴びた。もともとAI機能を備えていたGauthは、この潮流に乗って「てこ」を見つけ、逆襲の道を歩み始めた。
ユーザーがスマートフォンで問題を撮影すると、Gauthはそれを分析し、AIの支援により数秒以内に詳しい解答手順や解法の考え方を提示する。公式サイトによると、Gauthは数学・統計・物理・化学・歴史など複数の学問分野をカバーしており、国語や総合的な能力においてもアメリカのSAT試験レベルに到達しているという。
AIはGauthにとって、基盤技術であるだけでなく、成長の追い風にもなっている。しかし、ユーザーにとってGauthの魅力はAIだけではない。このツールはプロのチューターチームとも連携しており、長年の指導経験を持つ教師や大学生・大学院生らが参加。さらに、学生が問題について議論できるグローバルコミュニティも構築されている。
実際にテストしてみると、AIは多くの学問問題に対応できるが、依然として難解で特殊な問題には対応できない場合がある。あるテストユーザーが中国の高考(大学入試)問題をアップロードしたところ、Gauthは問題を認識し、中国語でステップバイステップの回答を提示したが、答え自体は誤っていた。
数学の問題は自然言語処理の大規模モデルにとっても未だ難しい課題であり、アプリとしてのバグは避けられない。しかし、Gauthは専門家チームやコミュニティといった「人」の要素でこの弱点を補っており、同時に自らの収益化への布石も打っている。
Gauthアプリは無料でダウンロード可能だが、一部の機能、特に「先生による解説」などの「真人専門家チーム」サービスは有料サブスクリプションが必要。これらは「Gauth Plus」会員プランに含まれており、すべての解答の解放に加え、7日間24時間体制の教師による質問対応サービスも提供される。
アメリカ市場では、Gauth Plusのサブスクリプション料金は月額・四半期・年額の三段階あり、それぞれ11.99ドル(約86.78元)、21.99ドル(約159.15元)、99.99ドル(約723.66元)となっている。
こうした点から、Gauthの収益化戦略において、AIは技術力であると同時に集客の看板でもある。AI技術と人間の指導リソースを組み合わせ、ユーザー体験を豊かにすることが、「AI駆動ツール」というフレーズの背後にある「人」の価値を明らかにしている。
AIの海外進出、飛び込めば本当にブルーオーシャンなのか?
AIの世界的なブームに伴い、中国のアプリケーション系企業は技術の概念段階から既に海外進出を目指し、早期に海外市場にポジショニングしようとしている。これは、中国のプロダクト志向企業がモバイルインターネット時代を通じて培ってきた戦略的経験といえるだろう。
2010年代以降、モバイルインターネットの波の中で、中国企業はアプリケーションの海外展開を積極的に推進してきた。ゲームが先駆けとなり、代表例はmiHoYo。その後、クロスボーダーECが台頭し、プラットフォーム型アプリとして多種多様な商品を海外に送り出した。TikTokはその最たる成功例だ。さらに最近では、ブランドそのものの海外展開も進み、東南アジアで「蜜雪冰城」を見かける中国人は、思わず懐かしさを感じることだろう。
今やこの海外進出の流れはAI分野にも及んでおり、Heygen、Opus Clip、Meshy、PixVerseといった中国発のAIアプリが次々と海外で注目を集めている。
百度は海外向けにAIカメラ「Meira」、AIチャット「SynClub」、AIソーシャル「WiseAI」をリリース。昨年海外で大ブレイクしたHeyGenの共同創業者の一人は、元ByteDanceのプロダクトデザイナーである梁望氏だ。その他にも、個人の起業家や小規模チームが持ち込んだ製品が海外市場で好調を維持しており、「TheB.AI」「FlowGPT」など話題になったAIネイティブプラットフォームの初期開発は、いずれも個人による独立開発から始まっている。
中国のAI関連企業が次々と海外進出を図る背景には主に3つの理由がある。第一に、海外ユーザーの支払い意思がより高いこと。第二に、中国のLLM(大規模言語モデル)の英語処理能力やオープンソース性に課題があり、海外向け製品は多くがGPT、Claude、Bardといった海外大手モデルのAPIを活用しているため、特定の垂直領域に絞り込み、シーンに応じた機能をラッピングすることで、比較的容易に製品化が進められること。第三に、過当競争を避け、直接海外市場にアクセスすることで、新たなチャンスを得られると考える企業が多いことだ。
しかし、国内の競争を避け海外に進むという選択肢は、機会と同時にリスクも伴う。
AIの海外進出熱が高まる一方で、競争も激化しており、すべての製品が成功するわけではない。大手企業であっても、海外でのユーザーベースが薄ければ、短期間で成果を出すのは難しい。
例えば、百度がMeira、SynClub、WiseAIを相次いでリリースしたが、市場の反応は芳しくない。SynClubのアプリランキングは100位以下に低迷し、ダウンロード数も数千レベルに留まっている。一方、現在注目を集めるGauthはDAUが急増しているが、言語学習アプリ「Duolingo」のDAUはすでに数千万レベルに達している。
Duolingoを例に挙げると、AIの流行以降、同社のMax版にAIを使ったロールプレイやインテリジェントな誤り訂正機能が追加された。2023年第4四半期の収益は1.51億ドルで前年比45%増、純利益は1211万ドルで前年同期から黒字転換、利益率は187%増加した。これは3四半期連続の黒字である。このアプリが教育アプリランキングで不動の地位を保っているのは、AIに依存するよりも、長年の市場蓄積によるものだ。
DuolingoのCEO、Luis von Ahn氏はかつて、「AI教育は、むしろアプリケーション層の開発とC向けユーザー体験に重点を置くべきだ。AIを教育の『入り口』とすべきであり、教育企業が技術の華やかさに惑わされて、製品本来の価値を見失ってはならない。モデルの性能競争ばかりしていては、本末転倒になる」と述べている。
確かに、AI技術は製品の海外進出にかつてないチャンスをもたらしている。しかし、製品の発展の中心はあくまで「製品」そのものであり、「+AI」の簡単な掛け算ではない。同質化が進む大規模モデル市場において、いかにAI技術を活用して優れたプロダクトを生み出すかが、海外進出の成否を左右する鍵となる。Gauthの台頭は市場に明確なポジティブシグナルを送っており、AI製品のあるべき姿を示している——それは、実際の利用シーンに根ざし、ユーザー体験に立ち返ることだ。
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