
Blackbird創業1周年にあたっての提言:暗号資産は本当に飲食業界を活性化できるのか?
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Blackbird創業1周年にあたっての提言:暗号資産は本当に飲食業界を活性化できるのか?
20年間にわたり飲食業界で起業を続けてきたベン・レベンタールは、新しいプロジェクト「ブラックバード」を通じて優れたレストランが生き残れるようにしたいと考えている。
執筆:Niamh Rowe、Fortune誌
翻訳:Luffy、Foresight News

Ben Leventhal、Blackbird創業者
レストランに行くとき、Ben Leventhalはあなたに何を注文すべきかではなく、どこに座るべきかを教えてくれるだろう。「Balthazarに行くなら62番のテーブルだ」と、テキーラをすすりながら彼は言う。「部屋の左側にある。そこなら最高の景色が楽しめる」。
ここ20年間、40代のこのニューヨーカーはグルメ文化の発展に大きく貢献してきた。まず2005年にEaterという情報サイトを立ち上げ(後にVox Mediaが買収)、どこで食事をするべきかを人々に伝えた。次に2014年にはResyを共同創業し、私たちがテーブルを予約できるようにした。同社は16,000以上のレストランの予約情報を1つのアプリに統合することで、「予約文化」ともいえる現象を生み出した。そして今、彼は最新のレストランテックプロジェクトに没頭している。それがBlackbird Labsだ。これはレストラン共通のロイヤリティプログラムであり、顧客は暗号資産のポイントを獲得できる。
Leventhalにとって、この新会社の意義は単にテクノロジーと美食を融合する新しい方法を見つけることではない。多くの小規模レストランが存亡の危機に瀕している今、Blackbirdがそれらに高度な経済的知見を与え、彼が「幸せの拠点」と呼ぶレストランたちが生き残れるようにしたいのだ。
外食人気は高まる一方、レストラン業界は衰退
8月、マンハッタンで曇り空が続く午後、Leventhalは私を街の憂鬱から逃れる完璧な場所へと案内してくれた。ノーリタの暗くスタイリッシュなTemple Barだ。季節や時刻を問わず、ろうそくの灯りの下でメニューを読む人々が常にいる。黒檀色の壁、チェッカーボードの床、有料電話。1990年代風の装飾は、このレストランが初めて名声を得た時代へのオマージュである。当時アート関係者たちが殺到し、シンボリックな大きなグラスでマティーニを飲んでいた。
Temple Barを訪れたのは、Blackbirdの初期参加店舗だからというだけでなく、Leventhalがダイニング体験に強いこだわりを持っているからでもある。「実際問題として、料理のことじゃないんだ」と彼は言い、角にあるアンディ・ウォーホルのディスコボールを指差した。「レストランがうまく営まれているのを見ると、本当にわくわくするよ」。
しかしTemple Barのような象徴的なスポットですら、不可避の厳しい現実からは逃れられない。レストランの利益率は着実に低下し続けている。食材費の上昇、パンデミック後の労働力不足、家賃の高騰――。
にもかかわらず、Yelpに掲載される新規レストラン数は昨年、過去最高を記録した。6月にはニューヨークの立法者が市場による予約取引を禁止する法案さえ可決したほどだ。Resyでは予約枠が最高1,000ドルで売買されることもある。「なのに今、ますます人気になっている。そこが興味深い点なんだ」と彼は言う。
こうした状況を考えれば、Leventhalは自分が愛するレストランたちが、来店客(特に常連客)からより多くの収益を得る方法を知ることができれば、まだ生き延びる道があると信じている。
食事して暗号資産を稼ぐ
暗号資産用語で言えば、Blackbirdは「Eat-to-Earn(食べるだけで報酬を得る)」型の分散型アプリケーション(dApp)だ。Blackbird対応のレストランに頻繁に通うユーザーは、「FLYポイント」と呼ばれる報酬を受け取れる。別の見方をすれば、これは新種のブロックチェーン技術に基づく伝統的なロイヤリティプログラムともいえる。
FLYは、暗号資産大手Coinbaseが開発したBaseチェーン上で発行されており、イーサリアムを利用する際に発生する高額な取引コストを抑える目的がある。
食事客はBlackbirdが利用するブロックチェーンの性質についても、Visa決済の裏側の仕組みについても、ほとんど関心を持たない。彼らが気にするのは、FLYポイントを貯めることで得られる特典――無料の料理やウェルカムドリンクなど――だけだ。
ベンチャーキャピタルのFramework Ventures共同創業者Vance Spencer氏は『Fortune』誌に対し、自分は毎日このアプリを使っていると語った。理由は? お気に入りの朝食店がたまたまこのアプリに対応していたからだ。そのメリットは? もう6か月間、コーヒー代を払っていない。7月までに、ユーザーは支払いネットワークBlackbird Payを使ってアプリ内でFLYで支払いも可能になった。
Blackbirdは、Leventhalがキャリアを通じて培ってきた飲食文化への理解の上に成り立っている。つまり、ニューヨークのような都市では、独占的な体験が商品化できるということだ。たとえば、レストランに最後の空席しかないことが分かれば、顧客はむしろそれを予約したくなる。Resyはまさにその心理を捉え、予約自体を商品化したのである。
Temple Barの場合、この由緒あるレストランがブロックチェーンを受け入れていることは、一見してまったく分からない。だが一つだけ明確に分かる箇所がある。Blackbirdユーザーが到着すると、金属製のアイスホッケー・パックのようなものをスキャンするのだ。ブロックチェーンはそこで誰がどこで、どのように注文し、いくら使ったかを記録し、その顧客の将来価値を推定する。企業は月額89ドルを支払ってBlackbirdを利用でき、無料ドリンクや最高の席を提供するタイミングがわかるようになる。「こうしたことを継続すれば、経済的に持続可能な道を歩めるはずだ」とLeventhalは言う。
採用への道
Blackbirdの主張は説得力がある。とりわけ、魅力的で極めて合理的なLeventhalが語るときはなおさらだ。しかし、彼が救おうとしているレストラン現場では、このサービスはまだ改善段階にある。LeventhalがTemple Barに到着する直前、彼の広報担当者がウエイターに「アイスホッケー・パック」について尋ねたところ、困惑した表情が返ってきたのみだった。
匿名を希望するあるユーザーは『Fortune』誌にこう語った。「もしレストランでBlackbirdの機器を見かけたら、スタッフにこのアプリについて話してみようとする。だがたいていの場合、彼らは何も答えず、無関心な態度をとる」。
レストランのスタッフはこのアプリに対して混乱したり無関心であったりするが、重要なグループ――つまり食事客――には確かに支持され始めているようだ。Blackbirdの広報担当によると、サービス開始から約1年で採用率は10倍に達し、現在およそ0.6%のレストランが導入している。
とはいえ、Blackbirdがユーザーを惹きつけるには、一定数の店舗が参加しなければならない。「一般ユーザーとして、まだ実際に恩恵を感じていない」とこのユーザーは付け加えた。
導入曲線について尋ねられたLeventhalは、ウイルス的拡散を起こすにはある種の「しきい値」が必要だと認めた。その具体的な数字を明かさなかったものの、彼は「人々が思っているよりも低い水準で達成できる」と断言する。「その一方で、我々は優れたレストランを厳選して取り込むつもりだ」。
Leventhalが一般の食事客に対する暗号資産の魅力(あるいはその欠如)をよく理解していることを考えれば、レストランやユーザーを登録させるという課題は、比較的容易に進むかもしれない。
「効果的な販売手法ではないよ。一般ユーザーにとっては、暗号要素はほとんど見えない。暗号関係者はただ、何かに『暗号』という言葉を付け加えることに夢中なだけなんだ」と彼は言う。
業界価値の保持
Leventhalがもともと暗号資産プロジェクトの創業者になるつもりだったわけではない。Blackbird以前、彼はただ好奇心旺盛な「観察者」にすぎなかった。パンデミック初期、ベンチャーキャピタリストのFred Wilson(Union Square Venturesパートナー)との会話の中で、レストラン間で共通通貨を作るという漠然としたアイデアを口にした。その後、その目標を実現する手段として最も理にかなっているのが暗号資産技術だと気づいたのだ。実際、ブロックチェーン技術により、レストランは顧客データを共有し、共通通貨を採用できるようになる。
表面的にはBlackbirdは単なるロイヤリティプログラムだが、その核心にあるのはLeventhalのビジョン、つまりレストラン業界内に閉じ込められた、共有され、成長し続ける資本プール(FLYの時価総額)だ。理論上、ユーザーはあるレストランで食事してFLYを獲得し、別のレストランでそれを使えるようになる。
「レストランにとって望ましいのは、顧客が他のレストランでお金を使うことであり、ホテルやファーストクラスの航空券に使うことではない。そうやって業界内の価値を保持できるのだ」と彼は言う。実際のところ、FLYは現時点ではユーザー間での取引も、アプリ外での購入にも使えない。Blackbirdもそのような計画を発表していない。
過酷な飲食業界において、Leventhalはレストラン同士が互いに支え合うことを促している。もし彼が成功すれば、近いうちにデートの夜や誕生日ディナーがFLYで支払われる日が来るかもしれない。
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